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ネットワーク / 公式資料に基づく実務解説・トラブル予防

院内でネットワークにつながっている機器、何台ありますか。一覧がないと、脆弱性の情報が届いても自院に関係があるか判断できません。

掲載 2026.10.27情報確認 2026.10.27

本日あらたな発表はありませんでしたので、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版のシステム運用編(令和8年6月)をもとに、実務的な整理をします。このガイドラインは、院内の全体構成図(ネットワーク構成図)と関係者一覧を作って最新の状態に保つこと、情報機器等の棚卸しを定期的に行うことを、守るべき事項として挙げています。難しく聞こえますが、やることは「院内でネットワークにつながっているものを数えて、紙1枚に書く」ところから始まります。

ガイドラインが求めているのは、2種類の紙です

システム運用編の「2.システム設計・運用に必要な規程類と文書体系」には、遵守事項として次の2つが並んでいます。ひとつは、採用しているシステム・サービス・情報機器の機能仕様と利用方法に関する資料を整備し、常に最新の状態を維持すること。もうひとつが、医療情報システムに関する全体構成図(ネットワーク構成図・システム構成図等)と、システム責任者・関係者一覧(設置事業者、保守事業者等を含む)を作成し、常に最新の状態を維持すること、です。後半の「関係者一覧」のほうは見落とされがちですが、何かあったときに最初に必要になるのはこちらです。機器の型番より先に、その機器を入れた業者と保守している業者の連絡先が要る場面のほうが多いからです。ガイドラインは、古い手順や技術資料が混ざると、脆弱性が残ったままになる、正常な稼働が損なわれる、といったリスクが生じると述べています。

「棚卸し」は在庫確認ではありません

同じ資料の「8.4 情報機器等の棚卸」では、情報機器等の棚卸しを定期的に行うことが求められています。目的として書かれているのは3つです。機器の所在が明確になること。紛失や漏えいのリスクを効率的に見つけられること。そして機器が使える状態かどうかを確認することで、バージョンアップや買い換えといった必要な対応を判断できるようになることです。あわせて「8.3」には、使っていないのに外部と接続できる情報機器があると攻撃の対象になり得る、という指摘があります。IoT機器に関する遵守事項にも、使用を終了または停止した機器をネットワークにつないだまま放置しないこと、と明記されています。院内で実際に多いのは、入れ替えたあとの古い複合機、使わなくなった予約表示用のタブレット、以前の業者が置いていった機器といったものが、電源もLANケーブルも挿さったまま残っている状態です。

脆弱性の情報は、一覧がないと使えません

脆弱性の公表は毎週のように出ます。当ブログでもたびたび取り上げていますが、お読みいただいたあと「で、うちは関係があるのか」で止まってしまうことが多いはずです。止まる原因はほぼ一つで、院内に何が何台あるかの一覧がないからです。ガイドラインの「8.2 情報機器等の脆弱性への対策」は、対象になる情報機器として、職員が直接使うパソコンだけでなく、サーバー、そしてネットワークに関連する機器等を挙げています。さらに、機器に内蔵されたファームウェアの脆弱性や、サポートが終了した機器が攻撃の起点になる事案が多く見られる、とも書かれています。ルーター、無線アクセスポイント、録画機、複合機。どれも画面がないか小さいため、更新の案内が目に入りません。なおガイドラインには、資産管理台帳と組み合わせて脆弱性情報の通知を受け取る仕組み(MyJVN)を活用するとよい、という記述もあります。

紙1枚から始めてください

最初から正確な構成図を描く必要はありません。おすすめするのは、院内を一周して、LANケーブルが挿さっているもの・Wi-Fiにつながっているものを、場所ごとに書き出すことです。受付、診察室、処置室、事務室、待合室、そして物置。機器名、だいたいの設置年、入れた業者名。この3つが埋まれば十分な出発点になります。設定を触る必要はありませんし、自分で判断してケーブルを抜くのもやめてください。見た目で使っていないように見えても、夜間のバックアップや別の機器の通信に使われていることがあります。書き出した一覧は、次の保守の打ち合わせでそのまま出してください。「これとこれは、今も使っていますか」「更新は誰が見ていますか」と聞くだけで、抜けている部分が見えてきます。リストの作り方が分からない、院内に何があるか自分たちでは見当がつかない、という段階でしたら、アイジェイネットでも棚卸しのお手伝いをしています。

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