入れ替えた古いパソコン、そのまま引き取ってもらって大丈夫ですか。
サポートの終わるパソコンを入れ替えると、使わなくなった古い機械が院内に残ります。本日新しく発表されたニュースではなく、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)と、総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」に基づく、トラブル予防のための実務解説です。ファイルを削除してゴミ箱を空にしただけでは足りない理由と、業者さんに任せるときに何をもらっておくかを整理しました。
もとにした資料と、この記事の位置づけ
今日もとにしたのは2つです。1つめは、厚生労働省が公表している「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(令和8年6月)の「システム運用編」で、その「7.3 医療情報の破棄」に機器を手放すときの考え方が書かれています。2つめは、総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」にある「安全なデータ・端末の廃棄」のページです。どちらも本日新しく公表されたものではありません。すでに公開されている公式資料をもとにした、予防の話としてお読みください。10月にサポートが終わるソフトやパソコンの入れ替えを進めている施設では、ちょうど出番の多い話だと思います。
「削除した」と「読み出せない」は別のこと
ガイドラインのシステム運用編には、医療情報を格納した情報機器等について「OSのファイル管理システムによる削除のみでは不十分であり、専用のソフトウェア等により復元不能な形で確実に情報を削除するなどの対応が求められる」と書かれています。記録媒体を物理的に破壊することも選択肢だ、ともあります。見落としやすいのは、同じ文に「リース等により情報機器等を返却する場合も、同様の措置が求められる」と続いている点です。買い取った機械を捨てるときだけの話ではない、ということです。総務省のページは、データ消去ソフトで上書きする、専門業者に依頼する、ディスク面が確実に壊れたことを確認して物理的に破壊する、暗号化してあるなら復号に必要な鍵を確実に廃棄する、の4つを挙げています。あわせて、SSDはハードディスク用の消去ソフトでは完全に消去できない場合があるので専用のソフトか物理的な破壊を検討すること、回復キーを保存したデバイスはパソコンと一緒に廃棄してはいけないことも書かれています。
業者さんに任せるときは、作業より「証跡」
外部に任せること自体は、むしろ推奨されている方法です。大事なのは、終わったあとに何が手元に残るかです。ガイドラインは、廃棄を外部の事業者に委託した場合には委託先から廃棄の証跡の提供などを求めて確認すること、としたうえで、具体例を挙げています。廃棄時に医療機関の担当者が立ち会うこと、記録媒体を含むすべての機器が廃棄された写真やソフトウェア消去に係るログの提出を求めること、廃棄事業者から「廃棄対象、方法、実施日、実施者および結果」を含む廃棄証明書その他の証跡を入手して内容を確認すること、そして委託契約の段階で、記録媒体を含めた機器の廃棄について契約条項として明確に合意しておくこと、です。引き取りに来てもらう前に「証明書は出ますか」と一言聞いておくだけでも、話が早くなります。
院内で今日できること
まずは数えるところからです。使わなくなったパソコンが院内のどこに何台あるか、電源を入れていないだけで倉庫や院長室に置きっぱなしの機械がないか、持ち主や担当者が決まっているか。本体だけでなく、外付けハードディスク、USBメモリ、バックアップ用のディスクも同じ対象です。リースのものは、契約書に返却時のデータの扱いが書かれているかを見てください。そのうえで、保守を委託している事業者か販売店に、消去の方法と証明書の有無を確認します。気をつけたいのは、自分で何とかしようとしないことです。初期化や工場出荷状態への戻し方は機種ごとに違ううえ、ガイドラインの言う「復元不能な形」になるとは限りません。まだ使っている機械を間違えて操作してしまう事故のほうが、よほど痛手です。確認のために院内ネットワークの設定をまとめて変更するのも避けてください。古い端末の棚卸しや、廃棄を頼むときに確認しておく項目の整理は、アイジェイネットでもご相談を承っています。
出典・確認元
- 厚生労働省:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版 システム運用編(令和8年6月) ↗
- 厚生労働省:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第7.0版) ↗
- 総務省 国民のためのサイバーセキュリティサイト:安全なデータ・端末の廃棄 ↗
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