院外処方箋を出していなくても、電子処方箋には「院内処方機能」があります。概要案内は10月1日に1.4版へ更新されました。
本日あらたな発表があったわけではありません。厚生労働省の「電子処方箋(院内処方機能)概要案内」が令和8年10月の1.4版になりましたので、この資料で確認できる範囲を整理します。改訂履歴によれば、1.4版での変更は支払基金・国保中央会の名称変更に合わせてDX審査支払機構へ表記を直した1か所だけで、制度そのものが変わったわけではありません。ただし、院内処方が中心の医療機関では「電子処方箋はうちには関係ない」と受け取られていることがあり、その前提が令和7年の時点ですでに変わっています。
院内処方を行う病院・診療所が対象です。外来で院内処方をしている施設だけでなく、入院中・退院時の投薬がある病院も含まれます。改修の対象になるのは、薬剤の情報を管理しているシステム、つまり電子カルテシステム、部門システム、看護支援等システムなどです。薬局は、登録された院内処方等情報を参照する側になります。カードリーダーや資格確認端末そのものを入れ替える話ではありません。
期限について概要案内1.4版のQ&Aには、院内処方機能を導入した場合の補助金について「令和9年1月15日までに医療機関等向け総合ポータルサイトより申請を行ってください」と書かれています。この資料には補助額や対象経費の記載はなく、ポータルサイトの「電子処方箋管理サービス>補助金」で確認するよう案内されています。なお当サイトが10月8日にお伝えした電子処方箋の導入補助(医療機関の補助対象とする導入期限が令和9年3月31日)とは、書かれている資料も日付も別です。自院がどちらに当たるのか、いくらまで出るのかは、この資料だけでは判断できません。ポータルサイトと補助金の交付要綱で個別にご確認ください。推測で見込みを立てないでください。
いつ公表された情報か
始まりは令和7年1月17日付の厚生労働省医薬局総務課の事務連絡です。電子処方箋管理サービスへの院内処方情報登録機能について、1月23日よりプレ運用を開始するとされました。概要案内は、改訂履歴によると初版が2025年1月22日(プレ運用対応)、1.3版が2026年4月1日で「本格運用開始に伴う修正」、1.4版が2026年10月1日です。1.4版の改訂は名称変更に伴う表記の修正だけと明記されています。新しく決まったことはありません。
院内で出した薬の情報が、外から見えるようになる
資料では、院内処方を行う医療機関も、処方・調剤・投薬した情報(院内処方等情報)を電子処方箋管理サービスに登録できる、と説明されています。登録された情報は、他の病院・診療所や薬局が本人確認と同意のうえで参照でき、重複投薬等チェックの対象にもなります。資料が挙げる利点は、転院・退院先への共有がFAXや口頭より早くなること、入院時の持参薬確認が楽になること、外来で院内処方を出す際に他院の処方を踏まえて判断できることです。患者さん側もマイナポータルや電子版お薬手帳アプリから院内処方等情報を見られるとされていますが、アプリで見られるかはアプリ事業者の対応状況による、と但し書きが付いています。
登録するのは「薬物治療を目的とした薬剤」
Q&Aに、迷いやすい点が2つ書かれています。ひとつは登録する範囲です。院内処方を行う薬剤には手術・検査等で使う薬剤も含まれますが、電子処方箋管理サービスでは「薬物治療を目的とした薬剤」を登録することを基本方針としている、とされています。そのため改修するのは、その薬剤情報を管理しているシステムです。ただし一概に定義するのは難しく、それ以外も登録はできる、との注記も付いています。もうひとつは電子署名で、院内処方等情報の登録に電子署名の付与は不要(付与しても登録可能)と明記されています。院外処方箋のほうと条件が違う点です。
院内で今日できること
資料は「何から始めればよいか」への答えとして、まずシステム事業者に相談し、どのシステムを改修するか検討して見積を取るところから、と示しています。順序としては、自院が電子処方箋そのものを導入済みかを確かめ、そのうえで院内処方の登録に対応できるかを販売元に聞きます。相談先として、コールセンター0800-080-4583(通話無料、平日8時〜18時、土曜8時〜16時、いずれも祝日を除く)と、ポータルサイトの問い合わせフォームが案内されています。施設によって使うシステムも院内処方の量も違います。他院の例をそのまま当てはめないでください。どこから手を付けるか迷われたら、アイジェイネットでもご相談を承っています。
出典・確認元
- 厚生労働省:電子処方箋(院内処方機能)概要案内【病院・診療所/薬局】令和8年10月 1.4版(改訂履歴に初版2025年1月22日・1.3版2026年4月1日「本格運用開始に伴う修正」・1.4版2026年10月1日「支払基金・国保中央会の名称変更に合わせ、DX審査支払機構へ表記を修正」とあること、院内処方等情報の登録・参照・重複投薬等チェックの説明、Q&Aに「薬物治療を目的とした薬剤」を登録する基本方針・電子署名は不要・補助金は令和9年1月15日までに医療機関等向け総合ポータルサイトより申請と記載されていること、コールセンター0800-080-4583の営業時間を2026年11月3日に確認) ↗
- 厚生労働省:電子処方箋管理サービスへの院内処方情報登録機能について(令和7年1月17日付 厚生労働省医薬局総務課事務連絡。運用通知「4 電子処方箋の運用に当たって(3)院内処方の場合の対応」に示す院内処方情報登録機能について、1月23日よりプレ運用を開始すること、概要資料や準備作業の手引き等を医療機関等向け総合ポータルサイト等で案内予定であることを2026年11月3日に確認) ↗
- 厚生労働省:電子処方箋(ページ内「2.4 その他電子処方箋の機能について」に、令和7年1月23日から院内処方の情報を登録する機能の提供が始まったこと、登録された院内処方情報は院内処方を行う病院・診療所でも電子処方箋管理サービス上で参照でき重複投薬等チェックの対象になること、導入手順や導入後の業務は医療機関等向け総合ポータルサイトで確認するよう案内されていることを2026年11月3日に確認) ↗
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