点数計算をレセコンの外で行う「共通算定モジュール」、令和8年6月1日に運用が始まっています。利用は義務ではありません。
本日あらたな発表があったわけではありません。厚生労働省とDX審査支払機構が公表している資料から、共通算定モジュールの現状を整理しました。診療報酬点数と患者負担金の計算を、各社のレセコンそれぞれではなく共通のプログラムで行う仕組みで、医科・DPC向けの運用が令和8年6月1日に始まりました。使うかどうかは医療機関の任意で、義務ではありません。利用できるのは、このモジュールに接続するレセコンを導入している医療機関に限られます。請求前のチェックまで行う「請求支援機能」は令和10年度の運用開始を目指して開発中、という段階です。
レセプトコンピュータを使用するすべての医療機関。ただし現時点で実際に利用できるのは、共通算定モジュールに接続するクラウド型レセコンを導入している医科・DPCの医療機関です。顔認証付きカードリーダーや資格確認端末を入れ替える話ではなく、オンライン資格確認の機器構成そのものを変えるものではありません。薬局向けや労災向けについては、今回確認した資料では今後の予定として触れられているのみです。
期限について期限の定めはありません。厚生労働省のページに「共通算定モジュールの利用は義務ではありません」と明記されています。導入の締切や、使わない場合の不利益について記載した資料は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。なお費用については、運用費用の在り方は検討中で、少なくとも請求支援機能が実装されるまでは利用のための費用負担を求めることは想定していない、とされています。自院のレセコンが対応しているかどうか、対応時期がいつになるかは契約中のベンダーによって異なりますので、個別の確認が必要です。
いつ公表された、どういう仕組みか
出どころは厚生労働省の「共通算定モジュールについて」のページと、同ページから案内されている資料(令和8年6月時点の記載)、それにDX審査支払機構(旧・社会保険診療報酬支払基金)のベンダー向けページです。DX審査支払機構のページには本格運用の開始日として「令和8年6月1日」、ページの最終更新日として2026年6月9日が記されています。仕組みはこうです。これまでは、診療報酬点数と患者負担金の計算プログラムを、レセコン各社がそれぞれ持っていました。そのため診療報酬改定のたびに、各社が、各医療機関のレセコンを改修する必要がありました。共通算定モジュールは、この計算の部分を共通の一つのプログラムにまとめ、レセコンからの要求を受けて計算して結果を返す形にしたものです。改修を一元化して医療機関の負担を減らすことが目的だと説明されています。
いま使えるのは誰か
厚生労働省の資料では、共通算定モジュールはクラウド型レセコンでの利用を基本としており、接続するレセコンを導入する医療機関から順次利用が可能、とされています。つまり自院が手を挙げれば使えるというものではなく、契約しているレセコンベンダーが対応していることが前提です。DX審査支払機構のページによると、機能の品質確認には、日本医師会ORCA管理機構、富士通Japan、日本電気、ウィーメックス、ソフトウェア・サービスの各社が先行・協力ベンダーとして関わったと記載があり、日本医師会ORCA管理機構のクラウド型レセコンが6月1日から利用可能になったとされています。クラウド型への移行が難しい場合を想定して、オンプレミス(院内設置型)のレセコン用に同じ計算プログラムを配布する、という記載も厚生労働省の資料にあります。医療機関が利用を希望する場合は、レセコンベンダーに相談する流れです。
安定性と、これから増える機能
いま始まったばかりの段階であることは、資料にもそのまま書かれています。当面は、予期せぬ不具合等が生じた場合の影響を最小限にとどめるため、不具合が生じたときに既存の計算プログラムへ切り替えられる状態を維持したうえで安定性等を確認し、徐々に利用を広げていく、という進め方です。計算結果の扱いについても、都度の計算結果であり、審査支払機関による審査には利用されない、と明記されています。今後については、レセプトの請求前のチェックと請求処理を行う「請求支援機能」を追加で実装し、令和10年度の運用開始を目指して設計・開発中とされています。労災の共通算定モジュールも、令和10年度の運用開始を目指して令和8年度中に設計・開発へ着手する予定、という記載があります。いずれも「目指して」という書き方ですので、確定した期日として受け取らないほうが安全です。
いま院内ですることがあるとすれば
義務ではなく、期限もありませんので、急いで何かを変える必要はありません。現実的に意味があるのは、次の改定を見据えた確認です。契約中のレセコンベンダーに、自院の機種が共通算定モジュールに対応する予定があるか、対応する場合はクラウド型への切り替えが必要か、費用や工事がどうなるかを一度聞いておく。その答えを、来年度の予算やレセコンの更新時期と並べて考える。この順番で十分です。なお、ネットワークについて厚生労働省の資料にはインターネットVPNを使う旨の記載がありますが、院内の回線や機器を一律に変えるべきだという案内は見当たりませんでした。レセコンまわりの構成は施設ごとに事情が違いますので、ここに書いた内容をそのまま当てはめないようお願いします。自院のレセコンやネットワークがどうなっているかの整理、ベンダーへの確認のしかたについては、アイジェイネットでもご相談を承っています。
出典・確認元
- 厚生労働省:共通算定モジュールについて(利用は義務ではない旨、費用負担の考え方、申込みの流れ、計算結果の扱い) ↗
- 厚生労働省:共通算定モジュールの概要(令和8年6月から医科・DPC向け運用開始、請求支援機能は令和10年度運用開始を目指して開発中、労災分の予定) ↗
- 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(DX審査支払機構):共通算定モジュール(令和8年6月1日本格運用開始、協力ベンダー、ベンダー向け問い合わせ先) ↗
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