救急車の中でマイナ保険証を読み取る「マイナ救急」。令和7年10月から全国で、令和8年4月からはスマホも対象です。
本日あらたな発表があったわけではありません。消防庁が公表している資料から、救急隊がマイナ保険証で傷病者の医療情報を確認する「マイナ救急」の現状を整理しました。全国での実施は令和7年10月1日から。令和8年度の実施体制は712本部・5,417隊で、スマートフォンに搭載したマイナ保険証も令和8年4月から使えます。仕組みを運用するのは各消防本部で、医療機関側に新しい機器や回線の対応を求めるものではありません。ただ、患者さんから窓口で質問されることは増えますので、何が見られて何が見られないかは押さえておきたいところです。
すべての医療機関。とくに救急搬送の受入れを行う病院と、患者さんから「救急車でも見られるのか」と尋ねられる診療所・薬局の窓口。顔認証付きカードリーダーや資格確認端末の設定を変える話ではなく、閲覧する側は救急隊の専用システムです。医療機関側に新たな費用負担や機器対応を求める内容は、今回確認した資料には含まれていません。
期限について医療機関に対する期限の定めは、今回確認した消防庁の資料には見当たりませんでした。消防側については、令和7年度が実証事業、令和8年度以降が通常の運用と整理されています。自院の地域で受入れ時の運用をどう合わせるかは、管轄の消防本部や地域のメディカルコントロール協議会の案内によって異なりますので、個別の確認が必要です。
いつ公表された、どこまで進んだ話か
消防庁のマイナ救急のページでは、令和7年10月1日から全国で実施、と案内されています。令和7年度は、新たに構築した救急隊専用のシステムを使い、全国720消防本部・5,334隊で実証事業を行う、という整理でした(令和7年5月19日付 消防救第164号)。その後の「令和8年度の実施体制」として同ページに載っているのが、712本部(離島等を除く約99%の消防本部)、5,417隊(約97%の救急隊)という数字です。基準日の記載はありませんでした。加えて、令和8年4月からは、マイナ保険証を搭載したスマートフォンでもマイナ救急が実施できるとされ、iPhoneとAndroidの両方に対応と明記されています。当サイトで10月5日にお伝えした災害時の医療情報閲覧とは別の仕組みですので、混同しないようご注意ください。
救急隊が見る情報と、同意の扱い
同ページによると、救急隊が閲覧できるのは3種類です。診療・薬剤情報として、過去5年分の受診歴、薬剤情報、手術情報、診療情報など。特定健診情報として、40歳以上の特定健康診査の結果(75歳以上は後期高齢者健康診査)。そして救急用サマリーとして、過去3か月分の受診歴・薬剤・診療情報、過去5年分の手術情報、直近の健診実施日などです。閲覧にあたっては、救急隊が傷病者本人に同意を求めます。ここで押さえておきたいのが例外の扱いで、傷病者が意識不明などで同意を得られない場合でも、生命や身体を保護する必要があるときは、同意なしに閲覧することがある、と書かれています。窓口で説明を求められたときは、この「原則は本人同意、例外がある」という形をそのままお伝えするのが正確です。
費用を負担するのは誰か
令和7年5月19日付の消防庁長官通知(消防救第164号、全国消防長会あて)には、費用の整理が書かれています。実証段階から通常の運用となる令和8年度以降のマイナ救急の実施に要する経費は、各消防本部の負担。そのうち、当時の社会保険診療報酬支払基金が運用するオンライン資格確認等システムの利用料や電子証明書の発行に係る経費は、支払基金へ一括して支払う必要があるため、全国消防長会が各消防本部から所要額をとりまとめて支払うよう依頼する、という内容です。医療機関の費用負担について触れた記載はありません。なお支払基金は令和8年10月に組織が変わり、現在はDX審査支払機構となっています。
窓口で聞かれたときに
患者さんから出やすいのは、「救急車を呼んだらカルテを全部見られるのか」「持っていないと不利になるのか」という2つです。資料で確認できる範囲で言えば、見られるのは上に挙げた3種類で、同意を求めたうえでの閲覧が原則です。マイナ保険証を持っていない場合の扱いについては、今回確認した消防庁のページに記載がありませんでしたので、断定は避けてください。受入れ側の病院で運用をどう合わせるかについても、このページには医療機関の役割に関する記載がありません。地域ごとに事情が違いますので、管轄の消防本部や地域のメディカルコントロール協議会の案内でご確認ください。ここに書いたのは公表資料で確認できた範囲です。施設ごとに条件が違いますので、そのまま当てはめないようお願いします。オンライン資格確認まわりの運用や、受付での説明のしかたについては、アイジェイネットでもご相談を承っています。
出典・確認元
- 総務省消防庁:マイナ保険証を活用した救急業務(マイナ救急)(令和8年度の実施体制、閲覧できる情報、同意の扱い、スマートフォン対応) ↗
- 消防庁長官:マイナ保険証を活用した救急業務(マイナ救急)の一部経費のとりまとめについて(消防救第164号、令和7年5月19日、全国消防長会あて) ↗
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