マイナ保険証の利用率30%。令和8年6月に新しくなった加算では、3つの区分すべてにこの条件が入っています。
令和8年度診療報酬改定で、医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算が廃止され、代わりに電子的診療情報連携体制整備加算が新設されました。令和8年6月1日からの算定です。厚生労働省の改定説明資料で施設基準を読むと、マイナ保険証利用率30%以上という条件が、加算1だけでなく2にも3にも共通してかかる位置に置かれています。4か月前に公表された内容ですが、利用率は毎月動くものなので、算定を続けている医院ほど折々の確認が要ります。
初診料・再診料・外来診療料の加算として電子的診療情報連携体制整備加算を算定している、または算定を検討している保険医療機関。入院基本料等加算の同名の加算を算定する病院も、施設基準に同じ利用率の条件が含まれます。顔認証付きカードリーダーや資格確認端末の設定を変える話ではなく、窓口での使われ方と届出の話です。
期限について届出の受付は令和8年5月7日から始まっており、令和8年6月1日から算定するための提出期限は令和8年6月1日必着とされていました(東海北陸厚生局の令和8年5月7日時点の資料による)。現時点で新たに届け出る場合の受理日と算定開始時期は、地方厚生(支)局によって案内が異なるため、管轄の厚生局への個別確認が必要です。また、利用率がどの月の実績で判定されるかについては、改定説明資料に記載がないため確認が必要です。原典と厚生局の案内でお確かめください。
何がなくなり、何ができたか
厚生労働省の改定説明資料「7.外来医療の機能分化・強化等」には、こう書かれています。医療DX関連施策の進捗等を踏まえ、医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算を廃止し、マイナ保険証の利用、電子処方箋、電子カルテ共有サービス、サイバーセキュリティ対策等に係る新たな評価を新設する、と。新しい加算の名前は電子的診療情報連携体制整備加算です。点数は、初診時(月に1回)が加算1で15点、加算2で9点、加算3で4点。再診時(月に1回)が2点。入院時は加算1が160点、加算2が80点で、いずれも入院初日です。歯科には電子的歯科診療情報連携体制整備加算(初診時9点・4点)、薬局には電子的調剤情報連携体制整備加算(8点)が、それぞれ別に設けられています。旧加算と比べると、評価の重心が「体制を整えたか」から「実際に使われているか」へ寄った形になっています。
30%の条件は、どの区分にもかかります
改定説明資料に載っている施設基準は、(1)から(10)までの10項目です。(1) オンライン請求を行っていること。(2) 診療報酬明細書を患者に無償で交付していること。(3) オンライン資格確認を行う体制を有していること。(4) 医師又は歯科医師が、オンライン資格確認等システムを利用して取得した診療情報を、診療を行う診察室、手術室又は処置室等において、閲覧又は活用できる体制を有していること。(5) マイナ保険証利用率が、30%以上であること。(6) マイナポータルの医療情報等に基づき、患者からの健康管理に係る相談に応じる体制を有していること。(7) 明細書発行に関する事項、医療DX推進の体制に関する事項等について、見やすい場所及びウェブサイトに掲載していること。(8)以降は、電子処方箋や電子カルテ、地域のネットワークに関する項目です。そのうえで区分が決まります。加算1は(1)から(10)の全て。加算2は(1)から(7)の全てかつ(8)から(10)のいずれか。加算3は(1)から(7)の全て。つまり(5)の利用率30%は、いちばん低い加算3でも外せません。ここが旧加算との大きな違いで、電子処方箋や電子カルテの話がまだ先でも、利用率だけは避けて通れない形になっています。
利用率はどう数えるのか
厚生労働省保険局が令和8年6月18日の社会保障審議会医療保険部会に出した資料「マイナ保険証の円滑な利用について」では、利用率の計算式が、マイナ保険証利用人数÷レセプト件数、と注記されています。分母がレセプトの件数なので、レセプトが確定してからの集計になります。同じ資料によれば、令和8年4月分の全国の利用率は68.15%。内訳は、合計の利用人数が約1億7,021万人で、うちマイナンバーカードによるものが約1億1,600万人、資格確認書によるものが約5,421万人です。施設類型別の推移を見ると、病院・診療所・薬局のいずれも、直近は60%台から70%台で動いています。全国平均が68%台という水準からすると、30%という基準そのものは高いハードルではありません。ただし平均は平均です。自院の数字がどうなっているかは、別に見る必要があります。どの月の実績で判定されるかについては、今回確認した改定説明資料には記載がありませんでしたので、管轄の厚生局や厚生労働省の事務連絡でご確認ください。推測で判断しないほうが安全です。
窓口でできること、相談先
利用率を動かすのは、結局のところ受付の一言です。保険証やマイナンバーカードをお預かりする場面で、カードリーダーへのご案内があるかどうか。初めての方に、顔認証と暗証番号のどちらで進めるかをお伝えできるか。読み取れなかったときに、そのまま他の方法へ切り替えるのか、一度確かめてみるのか。こうした積み重ねが数字に出ます。届出については、東海北陸厚生局が公表した令和8年5月7日時点の資料で、令和8年度改定に伴う施設基準の届出は令和8年5月7日から受け付けており、令和8年6月1日から算定するための提出期限は6月1日必着、と案内されていました。この加算は新設項目として、届出が必要な区分に挙げられています。施設基準や点数の解釈は医院ごとの事情で変わりますので、この記事の数字をそのまま当てはめず、原典と管轄の厚生局でお確かめください。レセコン側の対応はまず保守事業者へ。オンライン資格確認の運用や受付の手順づくりについては、アイジェイネットでもご相談を承っています。
出典・確認元
- 厚生労働省:令和8年度診療報酬改定 7.外来医療の機能分化・強化等(改定説明資料。電子的診療情報連携体制整備加算の点数と施設基準) ↗
- 厚生労働省保険局:マイナ保険証の円滑な利用について(令和8年6月18日 第212回社会保障審議会医療保険部会 資料3) ↗
- 東海北陸厚生局:令和8年度診療報酬改定に伴う施設基準の届出等について(令和8年5月7日時点) ↗
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